オールドキリム

東部アナトリアの、コーカサス地方との国境に近い町、カースのオールドキリムです。国境に近い地域柄、古くから常に紛争の絶えない土地で、さまざまな国家の侵略を受けました。 キリムに関しては、コーカサスの影響を受けたデザインが多いといわれています。 1950年以降、カースでは、このような細長いキリムが多く織られ、一つの特徴となっています。茶色やくすんだピンクなど控えめな色づかいも良く用いられたパターンのようです。 こちらのキリムもコントラストがあまり強くなく、安心感のある色合いです。 大胆なモチーフの中の幾何学的なメダリオンにはドットやエの字のような文様が入っていたり、フィールドにもさ..

アンティークの礼拝用キリムです。 細く、よく撚られた糸で緻密に織られたキリムは、長い年月を経てさらに薄くしなやかな質感に育っています。 美しい花などの植物が、幾重にもなるボーダーやメダリオンにも織り込まれていて、楽園を思わせます。 とても多くの色が使われ、丁寧に織り分けられていて、にぎやかな印象です。どの色もよく染まった美しい色合いですが、確実に元の染め色とは違う、アンティークの草木染めの、独特のこなれた古みというか、単純な「褪せ」とは少し違う、深みのようなものをまとった色彩です。鮮やかさを保ったまま、沈殿するように落ち着いた色からは、年月という目に見えないものが語りかけてく..

カイセリの大型のオールドキリムです。 カイセリらしいメダリオンの柄ですが、色使いが大変ユニークで美しいのが特長です。 深くてシックな、けれど対照的な色を隣り合わせにして織られたメダリオンは、互いの色を引き立て合いながら、しかし落ち着いた調和をしながら、わたしたちの目を楽しませてくれます。メダリオンの中に無数に織り込まれたモチーフひとつひとつにはランダムに色が使われていて、これも全体を調和させるのを手助けしています。 モスグリーンと葡萄色のメダリオンの地織りの色はノーブルさを、バラ色と濃い青はりりしさを、そして白が立体的な美しさをこのキリムに加えています。 左右の継ぎ目もきれいに..

中央アナトリア、カイセリの大判サイズのオールドキリムです。 4.5メートルという長さに幅も1.5メートルほどあるかなりの大作のなかに、 びっしりと数多くの模様が織り込まれており、驚きます。 特に左右、上下のボーダーに小さく無数に入っている、Ｓの字を横にしたようなフック（鍵）とみられる模様をみると 気の遠くなるような仕事であったと想像できます。 しかし、このキリムは楽しげです。織り手には使命感はあったかもしれませんが、おそらく義務感ではなく 自分の表現の場として楽しんでこの仕事をやり終えたのでしょう。そんな達成感も感じられる作品です。 色は落ち着いた色調で..

カイセリのオールドキリムです。 カイセリのキリムは太い糸でゆるくざっくり織られたものが多い印象がありますが、 こちらは比較的細く撚ったウールが用いられ、目もわりと詰まってしっかりと織られているようです。 そんな織りにふさわしく、鮮やかですがシャープで若々しい赤と青のコントラストが非常にしゃれていて 洗練された印象を与えます。 本当にこの明るい赤とさわやかな青は、濃すぎず、けばけばしくなく素晴らしい発色とこなれ具合です。 また合わせられたベージュやグレーが程よい落ち着きを添えてくれて、鮮やかだからと 浮いてしまうようなことはありません。 そして清潔感をプラスしてく..

見るからに柔らかく織られた平織は、何色とも表現できない染めの味わいのある色です。 縦糸に対して横糸がしっかり詰まっているため、一般的に縦糸は見えないキリムの平織（つづれ織り）ですが、 こちらは縦糸のラインも見ることができ、やわらかく織られていることがわかります。 このような織り方は均等平織と呼ばれます。柔らかい平織のサイドに、ポイントとなるジジムが施されています。 このジジムの技術が素晴らしく、細い糸で精密で正確に、大変細かく織り込んであるのがわかります。 美しいジジムと素朴な平織地との組み合わせが味わい深いキリムです。 柔らかいのでソファにかけたり、ク..

ため息がでそうな美しい文様と美しい色、西部アナトリアのアフィヨンのアンティークキリムです。 大判サイズで中央から二枚接ぎになっていますが、中央からきれいにぴったりと合っています。左右の文様もきれいに対称に織り上げられています。 このキリムの素晴らしいのは、上下のボーダー、左右のボーダー、フィールド、それぞれにそれだけで主役になれるような、文様、織り、色など完成された美しさがあるところです。 上下ボーダーはひとつひとつ色を変えた細かい横縞に、一マス一マス色の組み合わせを変えた文様。左右ボーダーもひとつひとつ内側の色が2色または3色の縞模様に織られています。 フィールドは虹..

中央アナトリアのコンヤ地方のホタムシのものです。 状態のよい古いキリムらしい、こなれて褪せた色合いと風合いが素晴らしいオールドキリムです。 オレンジや赤、青色がとくにいい色合いです。この何とも言えない色は、染めによるものだけでなく、長い時間というエッセンスが加わって、醸し出された色合いです。 内側のボーダーなどは、長い年月をともに経てきた赤と地織りのオレンジの色同士が、同化してゆくようにとけあっています。それぞれの色にみられるアブラッシュも、とても魅力的。 おそらくもともとのコントラストは鮮明なキリムが、今だからこその落ち着いた雰囲気を、現代に生きる私たちに見せてくれま..

コンヤのオールドキリムです。 深みのある赤の、無地の平織りに、階段状の模様と横縞が単調に織り込まれ、それを何度も何度も繰り返して このサイズまで織り上げ、その合間にジジム織りをほどこしています。 この繰り返しと、その幅の細かさ次第でこのように凝った、豪華な帯のような大作が出来上がります。 織り手の頭の中には、あらかじめこのようなデザインの構想、キリムの設計図があったのでしょう。 そのデザイン力も再現力も、素晴らしいものです。 平織りに加え、細かい幅でジジム織りがほどこされているので、厚みは少ないのですが固く補強されています。 タペストリーのように用いるのにも向いてい..

アナトリア、コンヤ地方のアンティークキリムです。 長さも3.5ｍを超え、幅も180ｃｍあります。かなりの大作。貴重なコレクションピースです。 このキリムについては、もう何も申し上げる必要がないのではないでしょうか。どなたがみてもひと目に、「美しい」と思える素晴らしい織物です。 特徴的で美しいのは、パープルからピンクのシックな色合いです。 美しい宵の空にまれに見かけることのできる色のような、なんともいえない余韻のあるピンクやパープル。 そのような色に気をとられて見過ごしがちな、チャコールやグレイッシュなベージュもこくのある美しさです。 そしてピンク、チャコール双..

コンヤのオールドキリムです。 ブロック分けされたスクエアの中に六角形のメダリオンが並ぶ、コンヤらしい構図のキリムですが、色使いと、隙間に埋められた模様が個性的です。大きくて４メートルの長さがあり、中央から2枚接ぎになっています。 ピンク色が全体を印象づけるキーカラーとなっていますが、そのバリエーションも多彩です。全体に少し黄み寄りの、あたたかみのあるピンクですが、発色よく華やかなもの、ベージュがかったもの、アブラッシュが水彩絵の具のタッチのような淡いグラデーションをなすもの、など、どれも味わいがあり、やさしいピンクです。 そのピンクを中心に、ピンクと黄色・ベージュ、ピンクとブ..

この色でアンティーク？と耳をうたがってしまいそうな、しっかりとした色彩が見事に保たれたアンティークキリムです。 ハキハキとした大胆な印象と落ち着きを併せ持った色とデザイン。主題であるフィールドのデザインは、アレンジされたミフラーブ文様のようです。つまり礼拝用のお祈りマットです。 赤茶色を中心とした味のある色合いの重ね方が非常に素晴らしい一枚です。 中心となる赤茶色と淡いベージュ、墨色の三色は染めの具合も大変よく、三色でよく調和し合い、全体の印象を決めていて、そこにオレンジなど、その他の色が少しずつ加わることで、カラフルさも生まれています。 境い目のはっきりとした大胆なデ..

アナトリア、コンヤ地方のアンティークキリムです。 長さも2ｍを超え、幅も160ｃｍあります。ミディアムサイズとしてはかなりの大作。 貴重なコレクションピースです。 このキリムについては、もう何も申し上げる必要がないのではないでしょうか。 どなたがみてもひと目に、「美しい」と思える素晴らしい織物です。 織られてから100年近くを超えるアンティークだなんて、思えない色の美しさです。 もちろん、当初のころからは染めの色も育ってきていることと思いますが、 それでも淡い色も濃い色も、すべてが色褪せることなく、それぞれ美しいままです。 鮮やか..

オブリュクのアンティークコレクションピースです。 ミフラーブの両肩と、そのアーチの上には生命の木。十字を多用したボーダーのデザイン。 ひと目でそれとわかる、オブリュク特有のミフラーブ模様の礼拝用キリムです。 とても美しい色を使って織り上げられています。 赤と青をメインにした色使いですが、全体にスモーキーがかったような独特なグレイッシュな世界が広がっています。 上の方のボーダーのクロスにみられるグリーンなども、何とも表現しがたいニュアンスの色合いです。 とくに大きな印象を左右する、フィールドの、グリーンもしくはインディゴの名残をのこすようなグレーの世界は、ほかには み..

コーカサス地方のアゼルバイジャンにある都市、クバのオールドキリムです。 ジグザグ模様を重ねた、大きな連続するメダリオンはインパクトがあります。左右のボーダーにも、内ボーダーのなにか植物のモチーフと思われる文様にも、ジグザグ模様。 色は濃い、深めの色が中心で、ボーダーとメダリオンに使われた白をポイントにした、コントラストのはっきりした力強い色合いです。 ジグザグ模様のメダリオンは、クバキリムのデザインの大きな特徴の一つです。 存在感があり、個性的な美しさがあります。ダイニングテーブルの下などにさりげなくあると大人っぽい空間になりそうです。品番　： K23472 サイズ：..

コーカサス地方のアゼルバイジャンにある都市、クバのオールドキリムです。 強い染め色を用いたあざやかな色彩が特徴的。オールドですが、色彩が非常に強く残っていて、コントラストもはっきりとしています。 文様もオリジナリティがあり、デザインも独特です。矢のモチーフや動物、花なども織り込まれています。中央のジグザクに囲まれたグリーンのフィールドの中に描かれた文様は実にユニークで、宇宙人の描いたメッセージのような不思議さがあります。 めずらしいのはそれだけではありません。下には文字と年号が織り込んであります。 黒と、そして赤土のような色との強めのコントラストが他のさまざまな色を（そ..

アゼルバイジャンにある都市、クバのキリムです。アゼルバイジャンの北にあるタゲスタンに近く、カスピ海のそばに位置します。 この地域はカスピ海と黒海に挟まれた山岳地帯で、コーカサス地方と呼ばれます。 孤立した山岳地帯で伝統が守られてきたこの地方は絨毯が多く、キリムの種類や数は非常に少ないのですが、 質の高さは世界でも高い評価を受けています。数が少ないので、非常に貴重なキリムです。 このように大判で、大胆な模様は、この地域のキリムの特徴です。 とくにクバのキリムの特徴は、このジグザグ模様になって連なったメダリオンとジグザグのボーダー。そして細長いサイズです。 まさに世界..

東部アナトリア、マラティアのアンティークキリムです。 大きめのサイズで中央から二枚接ぎになっています。 アンティークで、かなりの年数が経つものですが、ウールの質がよく、しなやかにこなれています。こなれていますが、織り目が崩れてくるようなこともなく、とてもよい状態を保っています。 さらに細やかな織り目が年月とともに、より一枚の布のように滑らかに一体化してきています。 バリエーションが豊富なマラティアのキリムですが、やはりこのような美しいピンク色が、しかもこのように良い色の状態で育っているのは、非常にめずらしく、貴重だと思います。 また美しいスカイブルーもめずらしく、..

東部アナトリア、マラティアのアンティークキリムです。 マラティアはトルコの主要なキリムの産地で、そのバリエーションもさまざま。こちらもその中のひとつ、ランナ―タイプのキリムです。 糸が細く、織目が非常に細やかで、緻密です。 赤と濃紺、グレーがこのキリムの印象を決めている色です。他にも茶色や黄色、水色などが文様の中に用いられています。 波打つような横縞の柄と無地の柄、並んだモチーフ文様の柄とを織り重ねてゆき、帯のようなキリムに仕上がっています。 モチーフの柄と波の柄が同量ぐらい、飽くことなくにぎやかな印象があります。 色どうし、柄どうしが互いに馴染んだ深い色合いはアンティ..

マラトヤ（マラティア）のオールドのジジムです。 ゆるやかな均等平織りで織られた、縦長の三色のやわらかい織り地に、美しいジジムがほどこされ、つなぎあわされています。 赤・黄・黒の、地織りの三色の染めも非常に均一で、美しい色彩を保っています。 またジジムは細く繊細で、細やかに色を差し替えられた糸で、見事に美しい模様を織りなしています。 とくに黒い地織りに浮かび上がるジジムの文様は、光を放つような印象を受けます。 ４メートル近い、ジジムの大作です。地織りが薄くふわりとやわらかいので、マルチカバーとしてソファやベッドに。 また、カーテンやタペストリー、パテーションのように使った..

東部アナトリアのマラティアのオールドキリムです。 マラティアはトルコで一、二を争うキリムの産地です。肥沃な土地が良質な羊毛もともとクルド人の町ですが、交通の要所であったため、彼らの織る重厚感のあるキリムだけでなく、さまざまなバリエーションのキリムが見られます。 こちらのキリムもそのひとつ。美しい色合いと、織りの技術、デザインの完成度の高さがすばらしい一枚です。 これだけ大きなサイズでも整然として完成度の高い文様と全体のデザイン、それが細い糸で緻密に、正確に織られています。 めずらしい色合いもこのキリムの魅力です。特にスモーキーなピンクとブルー・濃紺とのコントラストが、全..

目を見張るような赤と白の、鮮やかで美しいオールドキリム。 広い織り地一面にびっしりと、細かな模様が織り込まれ、しかも2枚接ぎの、左右対称のくるいもほとんどありません。 白い部分はコットンで、赤と黒で織られた全体の色の強さを際立たせています。 大きさはタテが3.7m、横が1.9m近くあり、ひとめ見ると、感嘆の声が出てしまいます。 オールドとは思えない鮮やかさ。しかし気の遠くなるような細かい仕事がなされたものでありながら、 不思議と、新しいものとは違う、ゆったりとしたおおらかさがあります。 品質の高さや、作品としての美しさを追求しただけではない、織り手の心意気というか、エネ..

東部アナトリアのキリムの主要産地のひとつ、マラティアのオールドキリムです。質・量ともに豊富で、さまざまなバリエーションのキリムが存在します。 こちらは色使いがとても個性的なキリム。深めのトーンの色ばかりなのですが、不思議なカラフルさがあります。 紫と茶色の横縞、青と茶色の横縞、モスグリーンと茶色の横縞の平織り地、黄土色と赤色の装飾入りの帯、連なり合ったメダリオンのような模様のジジムの帯からなっていて、比較的どれも落ち着いた色合いですが、組合わせや隣り合わせの魔法で、このように個性的でカラフルに見えるようになります。 たとえば茶色の横縞の境目には、赤い横糸がわずかに織り込まれ、隣り合う紫や..

東部アナトリアのキリムの産地、マラティアのオールドキリムです。 中央から二片に分かれて織られていた大きなキリムの片面部分です。大きなメダリオンを中心とした、色彩豊かな一枚です。 半分になることで中央に置かれることになったフィールドの赤色の美しさが目をひきます。 メダリオンや、フィールドにちりばめられた模様の紺色や白、黒、黄色などとのコントラストが鮮やか。 ほかにもモスグリーンやグレー、えんじなど、多彩な色がふんだんに織り込まれています。多くの色が細やかに織り分けられて、錦の帯のような印象を与えます。またそれぞれの色に見られる染めむらの描く表情が、絵画のタッチのように楽しめる一枚..