全キリム

東部アナトリアのマラティアのオールドキリムです。マラティアは質・量ともにトルコのキリムの主要な産地のひとつ。そのため、キリムの色やデザインなどのバリエーションもさまざまです。 こちらのキリムも明るい水彩のような色調が印象的な一枚です。 オレンジや赤、黄色を中心としたあたたかい雰囲気のキリムです。模様や横縞の幅が、斜めになっていたり、大きさや形が少しずつ異なっていたり、落書きのようにジジムのステッチでちょっとした模様が描かれていたり。まるでフリーハンドで自由に描かれたようなタッチです。機械で織ったように、コンピューターでデザインしたように、完璧に整った形ではなく、むしろ一見アンバランス。..

マラティアのオールドキリムです。 全面に施されたジジムが、様々な形の波のように見え、そのうねりが生きているような生命力を感じさせます。 対して色はピンクを中心とした深みのあるグラデーションで織られています。上下でも使われている色の色調が少し異なり、そのおかげで上下の間にも濃淡のグラデーションができています。 このことが、このキリムの「うねり」をより強く感じさせてくれています。 紫がかったピンクを中心とした美しい色使いは、模様の生命力に対してシックで落ち着いていて、そのバランスと見事な調和がこのキリムの他にはない魅力となっています。..

マラティアのオールドキリムです。 ソフレと呼ばれる食卓用のキリムで、このようにほぼ正方形のものは、上に木の板などのお盆を置いて、小麦粉をこねてパンを作ったり、焼きあがったパンを包んで保管したりに使用されました。 テントの中で、この周りに女性たちが座り、実際にそのような生活がこの上で繰り広げられていたのです。 全体にジジムが施されて、丈夫な作りになっていますが、良く使われたこともうかがわれて、味わいがあります。 なんとなく色使いや柄も、家族の「和」や「絆」がイメージできるような、キリムです。 家族の円満を願って、ソフレを持たれるのも素敵かもしれません。 もちろんインテリア..

マラティアのランナーサイズのオールドキリムです。 クルド人の町であるマラティアらしく、濃い赤茶色や藍色などを中心とした深い色で、重厚な印象を与える整然とした模様と並び方、しっかりとした織りなど、クルド的特色もみられるようです。 キリムには用途だけでなく、デザインでもさまざまに印象が変わりますが、こちらはのびのびとして野性的というよりは、文化的な規律感、宗教的な思想や美意識を反映したような、整然とした、どこか人為的な美しさがあります。 ベースとなる赤茶色や藍色に加えられた濃淡さまざまなブルーとグリーンも美しい色で、ノーブルな印象を添えてくれています。モザイクのような模様に、規則正しく..

ムットのアンティークキリムです。 ムットのキリムは、古いものほどこのように色が多彩で、デザインも凝ったものが多く見受けられるように思われます。 こちらは糸の撚りもよりしっかりとしていて、織りも比較的細やかそうです。 昔の方が、キリムに求める娯楽性のようなもの、財産性のようなもの、が高かったのかもしれません。 比較的環境の厳しい地域であるムット。唯一の癒しや楽しみはキリムの中の美しい世界だったのかも。 色鮮やかで明るいキリム。しっかりとした大胆な印象のデザイン、おおらかであまり細かいことはとらわれないような 雰囲気は、もちろん織り手の個人差もありますが、ムットらしいところ..

ムットのアンティークキリムです。 アンティークとは100年を超えるものですが、そうとは思えないみずみずしさをもつキリムです。 その決め手はこの色合いでしょう。シックで落ち着いたこなれ感とともに、フレッシュさもあるイエロー系、ブルー系、赤系。 三原色のバランスよい配色がとても魅力的。 大胆な柄の配置と、反対に細部の細やかな模様が生き生きとし、対称性と比対称性、緻密さとおおらかさの入り交じった、 本当に躍動感のあるアンティークです。 淡さのある美しい色はどこかモスクや宮殿を連想させるような色合いで、産地であるムットが、染料の原料にも乏しい 山岳地帯であることを忘れさせて..

中央アナトリア、タウラス山脈の南の村、ムットのジジムです。 そこは中央アジアから移動してきたモンゴル系遊牧民と、トルコ東部から移ってきたクルド人の村です。 よく撚られたウールで、時にはヤギや馬の毛を用い、質感を生かしたざっくりとしたキリムが織られています。ネイティブインディアンを思わせるような大胆な幾何学模様もこの村のキリムの特長です。 こちらのジジムにも、その特徴はみられます。本当に大胆な、力強いのびのびとした柄。少し男性的でもあります。 黄色、オレンジ、紫、濃茶、という、少し独特なこの色使い、そしてこの柄は、時々見かけるものですが不思議な存在感があります。 総ジジムとも..

中央アナトリア、タウラス山脈の南に位置する、ムットのオールドキリムです。 こちらはヤストックと言われる、細長い背もたれのクッションだったもので、テント内でくつろぐときなどに使われていました。 濃紺に暗めの深いオレンジの横縞、重厚感のある色調に、グレーやベージュや茶色などを加えて、しっかりとした力強いジジムの装飾がほどこされています。 その重厚な濃く深い色彩が、全体にまんべんなく、ほどよく褪せて、穏やかさを併せ持つほどにまで育ってきました。 静かな色調に、ジジムの白い糸のコントラストが引き立っています。 様々なタイプのお部屋に非常にイメージしやすい、合わせやすいキリムです。 ..

赤や黄色、オレンジが中心の、太陽のような明るいジジムが全面にほどこされた表面と、 ボーダーにワンポイントのジジムがほどこされた裏面。表情の違う両方を楽しめるオールドキリムです。 これはチュワルといって貯蔵用の袋だったものです。 実際に使われて来たことがうかがわれる、いいなれ方をしています。 ずっしりと重い袋を抱えてロバやラクダで移動する際、このにぎやかな柄が遊牧の装いを華やがせたのでしょう。 彼らにとって、富の証でもあり、最高の意匠でもあったのです。..

一面に丁寧にジジム織りがほどこされた、オールドのチュワルです。 チュワルはもともと貯蔵や収納のために使われた袋で、遊牧の移動の際には人の目に触れるものでもあったことから、 このように美しい装飾がほどこされているものがほとんど。多くは縞模様の地織りに、補強と装飾をかねたジジム織りなどの 模様織りがほどこされています。 その中でもこちらはほとんど全面がジジム織りの、大変手の込んだもの。しかもデザインがとても緻密で織りも正確。 熟練した織り手の、高度なテクニック、シックな色合いのセンスなど、なかなかみられない一枚。 小ぶりゆえのこのディテイルです。品番　： K2006..

Anatolian Old Kilim 赤色、茶色、黄色の温かみのある色同士が、互いにくっきりと引き立てあい、また調和もして とてもいい感じの雰囲気を出しています。 元気な色あいですが、グレーや白が配されたおかげできつくならず、シックになっています。 小さなところにセンスが効いた、織り手の色彩感覚がうかがわれます。全体を見ると、模様の示す意味に関係なく花型のものが中心であること、メダリオンを囲む櫛のような白い縁の 部分がかわいらしく、子どもの絵のようななごやかな印象を受けます。 ウッディな床なら床の色とマッチして、赤や黄色、白がアクセントになります。 ぬくもりがあってセン..

濃く、落ち着いた色のオールドキリムです。 上下の真ん中を中心に、柄がほぼ上下に対称になっており、横縞には一列飛びでジジムがほどこされているので、 チュワルなどの袋ものであった可能性も。 ジジムはしっかりと織り込まれていて、白いコットンのポイントが効いています。 横の縞の平織り部分の色は、それぞれにアブラッシュやグラデーションも味わいがあり、 地平線から見える夕焼けから宵のそらの色の移り変わりを表現したようです。 落ち着いた色合いですがオレンジや白が効いていて暗くなりすぎることはなく、 ランナーとして、地味過ぎず派手でなく、さりげない演出をしてくれそうです..

横縞の平織にジジム織りが施されている、細長のオールドキリムです。 赤を中心として、茶、黄色、白にパープルのジジムの色が映えています。 横縞に使われている山吹色の染めがとても美しいです。 平織も、ジジムも、少し不器用な手作り感がいっぱいの、温かみと愛嬌があります。 遠くのどこかで、実際に誰かの生活に寄り添っていた。そんなことがイメージされます。 細長サイズで、チェスト上のデコレーションや、廊下、広縁などにお使いになると、 いい感じの演出をしてくれそうです。品番　： K20114 サイズ： 71cm x 236cm 産　地： トルコ 年　代： オールド ..

もともと袋ものであったと思われる、小型のオールドキリムです。 小さいサイズの中ながらジジム織りが施された模様の切り替わりが、なんだかうねりのように エネルギーを感じます。 色や模様の重厚感と、フリンジの野性味のバランスが味わい深く美しい一枚です。..

北トルコ　黒海　オールドキリム ..

夢の世界をキリムの上に描いたような、美しい色彩のアンティークです。 すべての色がバランスよく、同じトーンで褪色していて、そのため色調に統一感があり、安定した美しさがあります。 どの色もニュアンスがあり、艶っぽい、味わいのある美しい染め色で、それらの色がメダリオンの上で、ボーダーの上で、重なり合って、その独特の美しい世界を展開しています。 メダリオンの中に唯一使われているコットンの真っ白な色が、非常にきれいな状態で保たれていて、浮き上がったように見え、ぐっとひきつけられます。メダリオンに奥行きが出て、二次元のキリムに立体感が生まれます。 染め色の美しさと色のコンビネーショ..

マラティアのオールドキリムです。 フィールドの模様はアシンメトリーです。白いコットンの分量も多く、かなりの年月を感じさせる染めの色は、その年月分の味わい深い褪せ方をしていて、美しいです。 フィールドにもボーダーにもランダムに入ったジジムの模様が音符のように飛び交っています。メダリオンの描き方も大きさがまちまちで、手書きのような自由さがあります。 とても個性的な楽しさにあふれた一枚です。 あとからあとから、この意味も込めたい、この思いも込めたい、と思いつくごとにこのキリムの上に模様が増えていったのではないでしょうか。 個性的で自由で、思いのあふれる織り手の作なのではないでしょ..

緻密で凝った模様、一見絨毯のような柄、はなやかな色合いが特徴的なスーマックです。 コットンとウールで織られています。 ベージュ系のベースに、紺、青、水色などのブルー系、ピンクや赤、白が配され にぎやかなかわいらしさがあります。 全体にはベージュがかったピンク～ブルー系の印象を受けますが、中央の赤いメダリオンがポイントになっています。 絵本のような、絵のような、夢のある感じのするキリムです。  ..

非常に細く撚られた繊細な糸で織られたキリムです。 美しくそろった文様と、赤い織り地が目を引きます。染め色が大変美しく、染めむらが作る織り地の自然なグラデーションも、細い糸のおかげでより繊細ですばらしい色合いです。 デザインも非常に理性的で、デコラティブです。ボーダーの文様に至るまで一つ一つが美しく織られています。 薄いペールグレーも美しい染め色で、この赤色とのコンビネーションが大変めずらしい色合いを作り出し、このキリムの印象を決定づけています。 クリームがかったやさいい黄色が明るさを添え、茶色は全体を締めて、高貴さも増しています。 ウールの質の高さが際立った、本当にきれいな..

110年ほどになると思われる、シャルキョイのアンティークキリムです。 シャルキョイは、「アナトリア」と呼ばれる小アジアのトルコと海をはさんだヨーロッパトルコ側にあり、キリムも独特です。 シャルキョイのキリムは、細い糸で緻密に織られているのが特徴で、品質の高いことで知られており、人気がありますが、その通りこちらのキリムも芸術的な緻密さをもっています。鳥や生命の木など、シャルキョイキリムに特徴的な模様が非常にバランスよく、正確に配置されていますが、さらにこの作品の非常に稀有な点は、明るく美しい色づかいにあります。 とくにフィールドを彩る鮮やかなオレンジは、貴重であることは言う..

ヨーロッパトルコ側に位置するシャルキョイのオールドキリムです。 美しい紺色、白っぽいベージュのボーダーや模様の中の白、赤ではありませんが鮮やかで濃いオレンジ、シャルキョイキリムらしい色使いです。 生命の木に鳥のモチーフは、バードシャルキョイといって、この地域の特徴的なデザインのひとつです。 非常に強く撚った細めの糸で緻密に織られたシャルキョイは、この美しい、明るめのデザインとともに品質の高さで知られています。 模様の緻密さといい、複雑さといい、織り手の技術の高さが推し量れます。また表面の織り地のしなやかさや美しさはさすがです。 こまかな部分にしか見られませんが、グリーンも美..

美しいグリーンが印象的な、シャルキョイのオールドキリムです。 ヨーロッパトルコに位置するシャルキョイのキリムは、細い糸で織られ目が詰まっており、繊細。 柄も大胆で野性的なものというよりどことなく細やかで整然としていて、鳥やブドウの木などの モチーフが特徴的で、オリエンタルな中にもどことなくヨーロッパを感じさせるものが多いのですが、 こちらはその中でも特にユニーク。フィールドには花のような模様がちりばめられ、その赤と濃淡二色の緑に 引き締めのブラウンが効いて美しい敷物となっています。 ふちを囲むペイズリーのような枠も、オリエンタル発祥といわれるペイズリーよりも、やや欧風な..