全キリム

アナトリアのオールドヤストックです。 紫の染め色、褪せ感、濃淡のグラデーションの美しさが個性的なのと、オレンジと赤のアブラッシュが鮮やかで美しいところが個性的です。 基本的には、よく使われるキリムの染め糸の色ばかりですが、模様と色彩の、組み合わせによる美しさが素晴らしいキリムです。 馴染み合う色と引き立てあう色を、にぎやかな模様に上手に配していて、紫陽花の花の錦ようなイメージの独特な美しいキリムに仕上がっています。 またはコズミックな美しさも持つように感じられます。シックでありながら鮮やかでおしゃれなデザインと配色です。 ヤストックとは、背もたれ用の細長いクッションのこと。..

縦に入ったストライプのデザインがめずらしい、アナトリアのオールドのジジムです。 フリンジを見ると、縦糸も色が分けられています。織り目の色の出方や、色同士のつなぎ目を見ると特殊な織りの技法を用いて織られているようです。模様の織り目もユニークです。 赤みのかかった紫に、赤、カーキがかった黄色の縞模様は、美しく、どこか日本人にも懐かしさのある色使いではないでしょうか。 琉球の伝統的な衣装などにもみられる色使いです。アジアにつながる色使いなのかもしれません。 ジジムが薄れている部分もあり、オールドの味わいもじゅうぶんです。民芸調のニュアンスもあるキリムです。..

ウールそのものの風合いや色合いが生きた、未染の糸を使って織られた深い茶色の平織り地の全面に、ジジム織りの装飾がほどこされたオールドキリムです。 平織りの羊毛の素朴な質感と、ジジムの規則正しく整った幾何学文様のギャップが面白く、このキリムは独特の表情を持っています。 平織り地とジジム、印象の違うものが同居していますが、この二つの「色」は、どちらも日に当てたような「褪せ」があり、そのトーンが同じです。 同じ時間を過ごし、日にさらされてきたおかげで生まれた統一感があるのです。 赤と紫、緑という、お互いを引き立てあう色のコントラストも、程よく馴染んで調和が取れています。..

アナトリアのオールドのジジムです。 緻密な織り地、均等な太さで織られたカラフルな横縞文様と、小さな花の格子模様のようなジジムの模様がかわいらしくにぎやかな雰囲気です。 デザインも繊細で、横縞の一本一本の幅も細く、きちんと揃っていたり、整った印象。こういった点に、織り手の性格や性質も表れるのでしょうか。 ジジムのほどこされた太い横縞の部分は、黒地の上下の二本が全体を引き締めていて、中央の赤地の方はやさしい印象。どちらにもどこかアジアを思わせる雰囲気があります。 お部屋に小さな花畑を敷いたような印象を与えてくれそうです。..

オールドのチュワルです。チュワルはもともと穀物などの貯蔵袋だったもので、遊牧民の生活に欠かせない道具でした。 ジジムなどで装飾がほどこされていることが多く、またその形状から、横縞模様のものが多く見られますが、こちらのキリムにもそのような特徴がみられます。 落ち着いたオレンジと茶色は同じ時間を過ごすことでともに褪せて、統一感のある色調に育ちました。ほっとさせる温かみがあります。 またジジム織りのほどこされた部分の平織り地には、未染の羊毛が使われています。ウールそのものの質感がよく出ていて、素朴な温かみがあり。オレンジと茶の縞模様と非常によくマッチしています。やさしい色目の糸、細い線で..

シックで大人っぽい色合いが、モダンな印象も与えてくれる、アナトリアのオールドのジジムです。 地織りのからし色、赤、チャコール、どれもよい感じにこなれていて、いい色合いに落ち着いています。 染めむらの織りなすグラデーションも雰囲気があります。 ジジムは緻密で、丁寧に入れられていて、配色のバランスも地織りのよい雰囲気とよくマッチしています。ジジムの帯の上下に入った白いデザインも、程よいアクセントになっています。 フリンジも丁寧に撚って結んであり、全体のデザイン性の高さがあります。そのフリンジの染め具合と、もともとのウールの濃淡との混じり具合もとてもよく、フリンジまでがデザインの一部..

非常にいさぎよくすっきりとした色使いが特徴的なオールドのチュワルです。 チュワルはもともと穀物などの貯蔵袋だったもので、遊牧民の生活に欠かせない道具のひとつでした。 丈夫に織られていて、刺繍のように見えるジジム織りなどの装飾がほどこされていたり、その形状上、横縞模様のものなどが多く見られます。 こちらのキリムもしっかりと密に織られていて、その織り目が大変きれいです。 藍色と濃茶色、ベージュというシンプルな色使いはあまり見かけない色合いです。 ベージュの部分には未染のウールが使われていて、もともとの羊毛そのものの質感や、色のグラデーションが表現されています。この色のグラデーシ..

オールドのチュワルです。チュワルはもともと穀物などの貯蔵袋だったもので、遊牧民の生活に欠かせない道具でした。ジジムなどで装飾がほどこされていることが多く、またその形状から、横縞模様のものが多く見られます。こちらは暗めのトーンの淡い色が、チュワルとしてはめずらしい色あいです。パステルか色鉛筆で塗ったような平織り地の色が印象的です。 グレーからグレーがかったオレンジとグリーン、そしてベージュからまた同じ色を折り返してゆくようなデザインです。色と色との境目に横糸数本ずつを開けて、隣り合った色をまた数本入れておってあります。そのことで、遠目にみると隣り合った色がグラデーションをなしているように自然..

中央にミフラーブ模様が描かれたアナトリアのオールドキリムです。 素朴で自由でのびのびとした印象の、子どもの絵のようなデザインですが、細いウールを使った織りは細やかでしっかりとしたものです。 また染め色が非常に美しく、色合いも調和のとれた温かみのあるもので、全体のバランスがよいキリムです。 額のようにデザインされたボーダーは引締め効果とメリハリをもたらすブラウンと濃い黄色。ボーダーの中の模様と、フィールドとの境目の櫛模様に使われた白がワンクッション置いて、中央のフィールドのオレンジとグレーと、違和感なく調和しています。フィールドの淡くシックな色使いと、この淡い夕焼けのよう..

とても凝ったデザインの、ミフラーブ模様のアナトリアのオールドキリムです。 織られた当初は、もっと色鮮やかでにぎやかな印象だったかもしれません。年月を経た今は紫や暗い赤、グレーなどを中心としたシックな色調に落ち着いていて、大人っぽい雰囲気です。 しかしデザインはとても賑やかで、また正確に整って整然としています。ミフラーブまで何重にも囲まれたとりどりの模様は、曼荼羅のような美しさがあります。 一番外側の、細い濃い茶色で取り囲まれたラインと、ミフラーブの周りの濃茶色の花模様のデザインが、淡めの色にメリハリをもたらします。 外側からミフラーブに達するまでの、大きさの違う、何重もの..

淡めの色合いが個性的なアナトリアのオールドキリムです。 もともとの色彩の淡さに、時の経過による「褪せ」が加わり、ニュアンスのある色合いに育っています。 その色合いも、白っぽい色が中心ですが、黄色や黄緑がかっていて、若さが感じられる色調です。 デザインは子どもの描いた絵のような、かわいらしさやあどけなさのある奔放な模様が自由に織り込まれていて、ところどころ、とつぜん色が変えられていたり、規則性や決まりごとのない色使いが、このデザインとよくマッチしています。 ウールの質感や色をそのまま活かしたツイードのようなグレーブラウンの糸の織りもアクセントになっていて、素朴さや温かみを添えてい..

大判の、鮮やかな色彩が大変美しい、アナトリアオールドキリムです。 赤、青、オレンジ、茶、グレー、ぶどう色、グリーン、パープル、白などが全体にバランス良い分量で配置されていて、 織り手の見事な色彩感覚がうかがわれます。 それでも、一つ一つのパーツごとに、同じパープルでも濃淡が違ったり、 一つとして同じ色がありません。 長い時間をかけて織られたこと、自然任せの天然の草木染めであることの証で、 キリムの価値のひとつでもあります。 はじけるような生き生きとした芸術性を感じるデザインの中心は「星」。 豊穣や幸福の星をキリムいっぱいにちりばめてあります。 インテリ..

アナトリアで織られた、ウールのスーマックです。 スーマック織りは、平織り地に新たな横糸を加え、縦糸１～２本を取って表から裏へと巻きとってゆく技法。より密でしっかりとしたキリムに仕上がり、独特の感触と見た目が生まれます。 コーカサス地方を中心に多くみられる技法です。 近づいてみると、一見、現代のパイル地の絨毯のような織り目です。厚みが違うことももちろんですが、このパイルに空気を含み、より温かさを保つ効果があります。 赤い染め色がきれいですが、綴れ織りの色の見え方とはまた一味違う印象です。織りの技法が異なると、メダリオンなどの模様も違って見えます。 しっかりと固く、厚みをもった..

重厚感のある色使い、一見ヘビーな印象ながら、どうしても生き生きとした躍動感や、こぼれるような明るさが隠しきれないのが アンタルヤのキリムです。 アンタルヤは地中海に面した、気候に恵まれた非常に豊かな美しい土地。海と太陽の輝く明るい土地柄が、そこに住む人、 すなわちキリムの織り手を通して、キリムにもこのような元気な印象や力強さをもたらすのでしょう。 力強い赤やオレンジ、黄色は太陽の色そのものです。大きめでシンプルな柄は潔く、おおらかな印象。 濃紺と白を用いたくっきりとした大胆なコントラストは、アンタルヤの強い日差しが見せてくれるのでしょう。 このメリハリのある美しいキリム..

アナトリアの南、太陽に恵まれた美しい土地、アンタルヤのオールドキリムです。 星とドラゴンのモチーフを細やかに織り分けた大作は、撚りの強い糸でしっかりと丁寧に織られ、よく締まっています。 濃紺に赤、オレンジ、えんじ、草色がかったベージュなど、一見芳醇な秋の色がふんだんに使われた、重厚感のある 色使いですが、何とも言えない太陽のような明るさと、エネルギッシュな強さがあるのは、現在ではトルコのリビエラとも 呼ばれるこの土地の、陽の光と風土がリアルに反映されたものなのでしょう。 このようにキリムには、織り手の思いや意図とともに、その生活が営まれる背景のすべても織り込まれてゆき、 ..

Antalya Old Kilim パープルとイエローという、個性的で美しく、高貴な色の組み合わせ。 その色の魅力を見事にキリムに織り込んだ、アンタルヤのオールドキリム。 この色彩を楽しむための一枚と言ってもいいかもしれません。 黄色はオレンジからレンガ色へ、またグリーンへと広がり、太陽や、ゴッホの「ひまわり」を連想させる色の世界です。 グラデーションのごとき色の重なりに、突如表れる白い織り地は、このキリムに鮮やかさと明るさ、 日差しを受けたようなコントラストをもたらします。そして両端の黒は大地のよう。 と、色彩からのイマジネーションがつきないキリムです。 アンタルヤは..

黒に近い濃い茶色の平織の前面に、ジジム織りで広がってゆくようなメダリオンが形作られています。 その一つ一つもまたメダリオンとなっており、その中には等しく星の文様が織り込まれています。宇宙感も感じられるキリムです。 規則正しく整ったこの文様ひとつひとつが、手で仕上げられてきたのです。大変な作業です。改めてキリムの世界の奥深さと、織り手の女性たちの技能に感嘆します。 シックで重厚感のある色使いがこのデザインと合わさって、大人っぽい印象です。気の遠くなるような細やかな作業。 デザイン性の高い、すばらしい手仕事の作です。 品番　： K23416 サイズ： 141cm x..

東部アナトリアのガジアンテプのオールドのジジムです。トルコ南東部にあり、シリア国境に近い町です。 アンテプというのは、1920年代以降より、ガジアンテプと呼ばれる以前の、オットマン朝時代の呼び方です。 とても明確なデザインと色使いで、きっぱりとした潔い印象のジジム織りが全体にほどこされています。 ワイン色のように染められた色の糸がとても美しく印象的で、この色と濃い青との組み合わせ、この色と濃い茶色の組み合わせがそれぞれにとてもよい色合いの雰囲気を出しています。 白も効果的で、全体をすっきりとさせています。ジジムの織りは整然としていて、すがすがしく背筋がピンと伸びるようです。 ..

アナトリアのアンテプ（ガジアンテプ）のジジムです。アンテプという地名は、今は使われておらず、現在のガジアンテプの古い呼び名です。 えんじの平織り地のほぼ全面に、びっしりと美しい見事なジジムがほどこされています。このように全面にほどこされたジジムは大変手の込んだもので、大変めずらしく、貴重な品です。しかもこの織りの美しさ。緻密で精巧で、上手な織り手によるものだったと思われます。 数多くの色や、強い発色の色が使われていますが、とても繊細な、レースや網の目ような模様のジジムであること、白がかなりのボリュームで効果的に使われていることで、ほどよい美しさ、鮮やかさに押さえられています。 フリ..

錦のように美しい、アンティークのジジムです。 うすく、織り目が細かく、しなやかな平織地に斜め格子のデザイン、そのひとつひとつに星のモチーフが織り込まれ、その織り分けられた色によって、全体のメダリオンのような模様をなしています。 この広さの中に、細かい格子が正確に、同じ大きさで入っており、織りの正確さや技術の高さがうかがわれます。細い線で描かれた細かい模様は繊細なレースのような美しさです。 褪せて、淡さが増した茜色の地織りに、馴染み合うような淡いグリーンやピンク、ブルーの星模様と、浮き上がるような紺色やオレンジ、白の星模様、それに濃茶の格子の線が、完全に規則的にでない使われ方をしてい..

東部アナトリアのガジアンテプのオールドのチュワルです。トルコ南東部にあり、シリア国境に近い町です。 アンテプというのは、1920年代以降より、ガジアンテプと呼ばれる以前の、オットマン朝時代の呼び方です。 チュワルはもともと遊牧民が移動の際、穀物や家財などを入れて運ぶ袋だった物です。その家にとって持ちうる財産を示す象徴でもあったため、ジジムなどの美しい装飾がほどこされているものや、鮮やかな色彩のものも多く見られます。 こちらもチュワルに特有の、鮮やかな平織りの横縞と、装飾のジジム織りとの組み合わせから成っています。 白のコントラストをポイントに、濃いオレンジと黄色、しっかりとした..

東部アナトリアのガジアンテプのオールドキリムです。トルコ南東部にあり、シリア国境に近い町です。 アンテプというのは、1920年代以降より、ガジアンテプと呼ばれる以前の、オットマン朝時代の呼び方です。 細長めの形に、横縞文様とジジム織りの装飾部分とがあり、もともと穀物などを入れる袋、チュワルであったものと思われます。 深みのある青や黒、赤茶色など、重厚感のある独特の落ち着いた色調は、クルド人の織るキリムの特徴で、こちらのキリムもその要素が強く表れているようです。しかし、シックで重厚な色合いだからこそ、白い糸がポイントになっていて、ジジムの美しさが引き立っています。 糸は中くらいの..