Herki Kilim

ヘルキ（Herki）は、現在の地名ではありませんが、東部アナトリアのヴァンやハッカリから・イラクとの国境あたりの地域のクルドの部族のひとつで、多くのキリムを織っていたヘルキ族をさし、この地域の総称としてヘルキともよばれていたようです。
クルド的特徴が表れた、重厚な力強い色使いですが、このキリムにはオレンジやピンクなどの鮮やかで明るめの色も少量含まれていて、ちょっとしたにぎやかさもあります。
ペルシャキリムによく見られる幾何学の花模様のデザインも印象的です。やや太めの糸でしっかりと織られた丈夫な織り地も特徴のひとつです。
キリムは、以前はこの地域を移動していた遊牧民族によって伝統的に織られてきたものです。互いの行き来やその時々でとどまるところが異なり、地名や現在の区切られた国境だけを基準に、固定化した産地の枠にはめることはできません。
そんなキリムの歴史的背景を最も感じることのできるキリムです。その特徴的なデザインや色使いや織りが、このことを物語っています。
時代を感じさせる織り地の風合いや、フリンジの個性的なデザインも非常に魅力的な、価値ある一枚です。