オールドキリム

西部アナトリアの主要都市のひとつ、アフィヨンのアンティークキリムです。
明るいオレンジ色と紫の色使いが、はなやかで明るく、印象的です。
メダリオンが並ぶフィールドと、両端のボーダーの境目に織り込まれているのは櫛または指の文様で、この町のキリムに特徴的な文様です。
ところで明るいオレンジの地織りの色が、突然淡いグレーに変わり、さらに濃いブラウンに変わっています。
おそらく同じ染め糸が足りなかったのでしょうか。染色は大変な作業です。織っている段階で糸が足りなくなっても、すぐに新しく染めて作るということはできません。
すでに染めた土地とは違うところへ移動してきているかもしれないし、その色の染料がそのとき手に入るかもわかりません。
後になってみればこの転色は、キリムの一つの味わいや価値として重んじられていますが、当時織り手の女性は、このことをただそうか、とそのまま受け入れたのでしょうか。
一枚のキリムというのは、ひとつの運命的な条件下でうまれた、唯一無二の、この世に一つだけのもの。そんなことも感じさせてくれるキリムです。