オールドキリム

全面にカラフルなジジムがほどこされた色鮮やかなオールドキリムです。
地織りのこげ茶色とオレンジの横縞の間にS字のフックの文様が数段にわたり入ったあとは、一列だけの文様、
そして大きめの柄が半分まで織られたところで、そこから下は細かい斜め格子になったデザインが続いています。
さらにそのデザインは同じままで、途中から色が切り替わっています。
このように、決まった型にはまらず、その時々でデザインや色が少しずつ、時には大胆に変化しているのも
古いキリムにはよくあります。
遊牧の移動の生活の中で織り続けるため、織りの環境や条件の変化などが、リアルに反映されているのです。
それはこのキリムが、自分たちの生活用品として織られたもので、売るための商品ではなかった証です。
このような点がキリムの深い味わいであり、その自由さが魅力でもあります。
菱形の格子の模様がとても美しい織りですが、織り手は色を斜めに配することで、単調な模様に変化と動きをもたらしています。