セミオールドキリム Mut

30~50年前に織られたこのセミオールドキリムは、中央アナトリアの南に位置するタウロス山脈の麓、ムット（ムーツ・ムッツ）の遊牧民たちによる最後の頃のキリムです。
アースカラ―を中心とした色合いと、すっきりとしたシンプルなデザインがこの世代のムットの特徴です。その中でもこの大きなジグザグのメダリオンは代表的なデザインのひとつで、こちらはそんなムットらしい雰囲気がよく感じられる一枚です。
ツイードのような表情豊かな淡い茶色や白、力強い濃い茶色、中央のメダリオンのキャラメル色、などは、未染の羊毛の色をそのまま生かした色です。
赤やオレンジ、紫の染め色も、元の羊毛の個性が残る色合いで、未染の糸とよく調和しています。また、遊び心のある比較的鮮やかな染め糸は、ジグザグの境目を縁取るのに用いられていて、全体のナチュラルな風合いを損ねることなく、デザイン性を洗練させる役割をはたいています。
オールドの風合いも持ちつつ、現代のインテリアにもマッチするデザインと色使いをそなえたムットのセミオールドは、今とても人気があります。初めて自分でキリムを育ててゆくには最適な価格帯であるにもかかわらず、伝統的な草木染めと手紡ぎのピュアウールも楽しんでいただけるものです。