オールドキリム

横並びの総柄模様の、反物を切っとったかのようなオールドキリムです。
黄色やベージュ、パープル、白、ピンク、全体の淡い色合いに、文様のところどころ、あるいは文様のかがりなどに使われている濃茶が、効いています。
自由に、ランダムに、まるで織り手の気まぐれで突然入れられたかのように見えてしまうこのような色は、ほかのキリムを見ていてもよくありますが、なぜか絶妙に全体のバランスをとる役割を果たしていたり、引き締めていたり、さし色になっていたりと、とにかく「効いて」いることがよくあります。
もしかしたら少し試してみたりということもあったのかもしれませんが、おそらく意図的であることは少ない、と思われる使われ方で、何らかの事情があったのではないかと思われますが、たとえばこのキリムにおいても、この茶色がなかったら、どうでしょう。全体がうっすらぼんやりとして、このような個性的な美しさはなかったかもしれません。
この「気まぐれ」が味わいとなっているのがキリムです。完璧でなく、完成でないのがそのまますべて価値であり良さ、なのです。