房(フリンジ)の補修
絨毯の基本的な構造は経糸と横糸から成っています。房は簡単にいいますと絨毯両端からはみ出ている経糸のことです。房がすり減るなど損傷した場合には、絨毯の寿命を延ばすためにも、早急な修復が必要です。結び目が付いていない裸の糸である房は、絨毯の他の部位に比べて傷つきやすいからです。例えば、房が完全に無くなるほど、損傷箇所がパイルの部分まで広がると、絨毯の一部を織り直さないと修復できなくなり、非常に時間と手間がかかり、高価になってしまいます。房の修復は短くなった部分を切り取り、経糸の素材に合わせて新しい房糸を縫いこむことで行います。
日焼け補修
日当たりの良い部屋や屋外に敷かれている絨毯は、長時間にわたり直射日光にさらされることになります。これは、絨毯全体あるいは一部の退色の原因になります。特に紫外線によって、絨毯本来の鮮やかな色合いが次第に褪せていきます。日焼け修復は熟練の技を必要とする非常に精巧な作業です。専用のシャーリング器具を利用して、絨毯パイル(毛足)の先端部分を少しだけ削り取ります。この作業によって、本来の色合いや鮮やかさを蘇らせることができます。
ゆがみの修復・サイズ補正
アンティークやオールドラグには、長年の使用で、ゆがみやシワができ、元々のサイズや形状が変わることがあります。絨毯のこのような伸縮を補正するためには専用のストレッチ台を使い、数日間かけて平面性と本来の形を取り戻します。絨毯を裏返して、台の端に沿って縁を固定し、特殊な液体を塗布し、元の形に戻るよう調整しながら伸長させます。主成分が天然でんぷんであるこの液体はストレッチング作業終了後の形状維持に役立ちます。手織りで作られる高級絨毯は、その手織りという特性のため真四角ということはありません。四角形を求めるよりも平面性を保つことを心がけるべきでしょう。
ウエイトベルト付け
折り目が細かく薄く仕上げられた絨毯は、糸を強く結び込むため、縁かがりの部分が反り返ってしまうことがあります。そのそり返りを防ぐ意味で、時折、裏側にウエイトベルトと呼ばれる皮のベルトが縫い込まれているものがあります。長年の使用で、この皮がすり減ったり、絨毯の形が変わったりすることによって破損することがありますので、ベルトの交換もお勧めします。
縁かがりの織り直し(修理)
縁かがり(セルベッジ)は絨毯の両端に縦方向に沿って施され、パイルなどを保護している編み構造です。左右両末端の縦糸を囲む形で編み込まれる縁かがりは露出していないフリッジとも言われています。絨毯の形状を保持し、結び目が解けないように織り子によってしっかりと織られています。縁かがりは緩んで生じる、小さなほつれ等が容易に織り直すことができるものの、長い期間放置すると範囲が拡大し、絨毯のパイル部分まで損傷することがあります。
シミ抜き(特殊)
チョコレート、ケチャップ、ワイン、コーヒー、ペットの尿等のような頑固なシミを特別の方法や道具を使って抜いていきます。キリムハウスでは伝統的なテクニックや最先端のシミ抜き剤を活用して、安全かつ効果的な汚れ除去サービスを提供しています。全てのシミを完璧に除去することは保証できませんが、シミの種類や度合いに応じて最適なソリューションを実施し、頼りになるシミ抜きサービスを目指しています。
消臭加工
こぼれた飲料や食品、ペットやカビの臭いが絨毯に染み付くことがあります。簡単に掃除しても臭いの原因となる成分を絨毯繊維から完全に除去しないとなかなか解決できません。ペットは同じ場所に排尿する習慣があり、同じことを繰り返さないためにも、特にペットの尿の悪臭成分を処理することが重要です。キリムハウス・クリーニングでは、水洗い時に、悪臭除去に適した消臭剤を使うことで、臭いを元から消し去ります。
防ダニ・防カビ加工
絨毯に付着するダニは、絨毯素材(シルク・ウール)を餌にしているのではなく、食べかすや毛足についている脂肪分を求めているのです。ダニは脚を繊維に絡ませるため、掃除機による吸引ではあまり効果がありません。また、日本は湿気と乾燥を繰り返す気候なので、カビの繁殖を防ぐのも重要なポイントです。キリムハウスでは、絨毯のダニ・カビ退治に効果的で安全な防ダニ・防カビ剤を使用してダニやカビを寄せ付けない環境に仕上げます。
破れ・ほつれ・一部織り直し
手織り絨毯を持っている方々の多くは、虫食い等によって、穴や裂け目ができてしまうと、絨毯そのものを処分するしかないと思いがちです。しかし、穴あき修理によって、大切な手織り絨毯を救うことができます。特に虫害によるダメージの場合、縦糸・横糸構造(基布)さえ丈夫であれば、比較的に安価で修復できます。縦糸や横糸が完全にダメージを受けても、針を使って新しい糸を結び直し、補修することが可能です。広範囲の損傷があり、大規模な補修が必要な時は、絨毯をメンテナンス専用の織台にセットし、欠けている部分を丁寧に織り直します。これは、絨毯リペアーの中では最も経験を必要とする「一部織り直し補修」の作業であり、それなりに時間(3〜4週間)がかかります。